21Water 200511 IT Seminar Main
NPO 21世紀水倶楽部
2005 IT セミナー「下水道空間とFTTH」
2005年11月1日(火) 13:30〜16:30,砂防会館 別館3F「六甲」
※土木学会継続教育(CPD)の認定プログラム(認定番号:JSCE05-418)
式次第
司会進行:21世紀水倶楽部 ITグループ会員 村岡 基
開会挨拶:21世紀水倶楽部 ITグループ代表 深堀 政喜
講演1『FTTHの普及と下水道の役割』
講師:公文 章三氏 日本下水道光ファイバー技術協会 技術部部長
1) ブロードバンドの動向と下水道光ファイバー
2) 国の施策,支援
3) FTTHに向けた下水道光ファイバー技術
4) 下水道FTTH取組み事例
5) 下水道管理用利活用例(アプリケーション
6) まとめ:FTTHに向けて下水道の役割と下水道光ファイバーの今後のポイント
講演2『下水道空間活用−通信事業者から見た下水道FTTH』
講師:深堀 政喜氏 NTTインフラネット(株) 事業開発本部調査部長
1) FTTHの普及状況・・・DSL増加数を追い越す
2) FTTHの利用価値拡大・・・公共通信,放送事業,民間情報通信,個人商取引など
3) 下水道によるFTTHが進展するには・・・停滞の原因と対策
4) 下水道空間活用の試み・・・仲間は多いほうがよい
5) 議論の参考
ディスカッション
1) デジタル地上波の動きと下水道
2) デバイド整備
3) 下水道空間は有望か?
4) 下水のメリットは?
5) 下水道FTTH
6) その他の意見(下水道FTTHの普及には?)
主催:NPO法人 21世紀水倶楽部 ITグループ
《 式次第 》
すべての家庭につながる下水道管きょを活用して,光ファイバー通信ネットワークサービスを各家庭に普及させる下水道FTTHの事業は,現在まで大きな進展が見られません。
これまでの事業経過と今後の方策を再考察して,ITを活用し,またIT社会に貢献する下水道事業のあり方を講師と共に考えるセミナーです。
--- 記 ---
日時:平成17年11月1日(火)13:30〜16:30
場所:東京都千代田区平河町 砂防会館別館3階会議室「六甲」
講演:『下水道空間とFTTH』
(1)FTTHの普及と下水道の役割
公文 章三氏 日本下水道光ファイバー技術協会 技術部部長
(2)通信事業者から見た下水道FTTH
深堀 政喜氏 NTTインフラネット(株) 事業開発本部調査部長
13:30 開会挨拶;グループ主担当 深堀政喜
14:20 講演;IT先端技術の活用法
16:00 質疑応答およびディスカッション
16:30 終了
《 開会挨拶 》
21世紀水倶楽部 ITグループ代表 深堀 政喜
- 本日の参加は申し込み25名,内非会員8名。少しは会員外にも広げる活動に。
- 昨年度末にICタグの活用等についてセミナーを実施し,その時に光ファイバーに関連する意見も多く出され,今回のセミナーのテーマに繋がった。
- 以前,当時の国土交通大臣である扇大臣より,"下水道はFTTHを全て担う"との趣旨の発言がなされたが,現在,下火になっている。ぜひ活性化するよう期待したい。
講演1『 FTTHの普及と下水道の役割 』
講師:公文 章三氏 日本下水道光ファイバー技術協会 技術部部長
- 下水道の光ファイバーは,潜在はあると考えられるが,今一つ伸び悩み。光ファイバー協会においても,H10にピークがあり,ここ1〜2年は低迷している。
- 本日は,ディスカッションのなかから名案のヒントを得たい。
- 話題提供としては,今までの経過,外部を含めた状況,特にFTTHとしてみた場合の技術的課題やアプリケーション開発の必要性等について述べる。
1) ブロードバンドの動向と下水道光ファイバー
- 2001年に国のIT政策,ADSLが一気に普及し,次いでCATV。さらに,工事しにくいところなどで,配線工事不要な無線(LAN,FWA)が注目。その場その場での組み合わせで進んでいる。
- 能力は光がダントツなので,メインを光とし,周囲に他の方法がくるのがいいと思う。
- ブロードバンド契約数は順調に伸びており,H17年度では2000万件以上。契約絶対数はDSLが大半(約7割)だが,近年の純増数は,FTTHがDSLを逆転した。
- ブロードバンド環境は整いつつあり,全てが接続されているわけではないが,接続しようと思ったら可能な環境にあり,E-JAPANの成果。ただし,6.9%の不利地域も残存。
- 特記1「FTTHの真価発揮は,映像を駆使した健康・福祉・教育・行政の遠隔サービス」⇒これらを最も必要とするのは,交通事情の悪い過疎地域の情報弱者(≒条件不利地域)
- 特記2「地上波デジタルTVは,アナログTVに比べ難視聴地域を拡大する可能性あり」⇒光ファイバーと併用した取組みが必要。
- 情報には著作権の問題もからみ,トリプルサービスの制約にもなる。技術的には可能であっても,制度的な問題もある。そもそもペイできるところは民間で実施している。情報弱者の地域に対しての制度が必要ではないか。
- 光ファイバーの利点がでるのは,埋設方式か架空方式かに集約。コスト的に架空方式には太刀打ちできない。信頼性,景観,セキュリティ等のトータルの面で,国庫補助制度の適用により,経済的構築が可能。
- 下水道光ファイバー全長1591kmの半分は東京都。もともと都で下水道の管理用に始めた経緯。下水道は,まだ中小を中心に普及予定があり,管路敷設と同時に光ファイバーの可能性。
2) 国の施策,支援
- H8に下水道法の一部改正で光ファイバー敷設が可能となり,H11にはFTTH(Fiber to The Home)構築の補助制度,H13より計画にも補助適用。
- 新世代下水道支援事業---機能高度化促進事業---高度情報化型を適用。下水道と光ファイバーを同時に構築することで,コストダウン。
- 総務省「地域インフラネット補助事業」でブロードバンド民間事業者への開放が行いやすくなった。
- 民間主導のなかでも国等の支援が織り込まれている。ブロードバンドゼロ地域脱出計画の一環。
3) FTTHに向けた下水道光ファイバー技術
- 「下水道光ファイバー」は,自動検針に必要な設備ということで,かなりの補助の範囲が適用される。
- 下水道の中であり,ケーブル敷設環境としては,かなり厳しい。工法との組み合わせでケーブル外装もいくつかの種類が存在。
- 下水道FTTH構築に向けての主な課題として,「各戸へのネットワーク展開方法」,「取付管への光ケーブル敷設方法(各戸系への引き込み)」,「FTTH利用システム(アプリケーション)」,「運用・保守」がある。
- 下水道は末端ほど管径小さい。敷設ケーブルは,概ね管径の10%まで。戸別に1ケーブルは無理で,ある程度の集約が必要(=どこかで分岐が必要)。
- 引き込みケーブルの課題:必ず「曲り」が存在し,対応できる工法が必要。
- 管径が小さく,かつ曲がりのあるケーブル敷設は,それなりに困難であり,下水道光ファイバーの技術上の主な課題の一つ。
- 一般に,マンホールは40〜50m間隔にあり,その間に両側4〜5の分岐の状況。マンホールに分岐接続箱を設置し,幹線ケーブルと,各戸への引き込みケーブル。幹線は下水道の流下や引き込みケーブルの邪魔となってはならない。
- 施工時としても「使用中管渠で施行可能」「下水道の維持管理に支障がない」などの要件を満たす必要あり。通常の汚水流下のみならず,高圧洗浄(ホースやノズル等の搬入・作業),カメラ調査(搬入・作業)等は必ずあり,支障ない様に。
- 使用材料は,耐食性,耐久性の他,管渠の更正工法で熱が使われることもあり,耐熱性も確保しておく必要。
- 管渠施設の改築・更新に対応可能であることも要件となるが,ほぼ,ケーブル敷設換えとなっている。
- 必要要件を踏まえた敷設工法の技術的な取り組み(ロボット工法など)も多く,実験,性能調査,評価等が行われている。施工性,コスト,敷設後の耐久性など様々。
4) 下水道FTTH取組み事例
- 岡山県岡山市:H13.6下水道FTTH供用開始。
- 岡山県新見市:H15.7下水道FTTH供用開始。11/24協会でフォーラム開催予定(詳細は協会のHP)。
- 新見市自動検針の特徴:特定省電力無線を導入。家屋に光ケーブルを通す穴をあけるのを嫌がる人対応。
- 北海道泊村:H16.9下水道FTTH供用開始,「とまりねっと(村内高速インフラネット)」。在宅健康管理(平常時と家屋内でのON/OFF等の行動パターンが異なる場合に係員が訪問)。原発で財源が裕福。
5) 下水道管理用利活用例(アプリケーション)
- 下水道管理高度情報化システム
- 排水量監視(自動検針)システム
- 排水水質監視システム(工場や事業所からの排水水質データを自動収集)
- 遠隔水位監視システム
- リアルタイム水位モニタ情報表示
6) まとめ:FTTHに向けて下水道の役割と下水道光ファイバーの今後のポイント
- 膨大な下水道地下空間資源の有効活用
- 災害多発の日本列島に安全・安心,そして景観にすぐれた光ファイバー敷設空間提供
- 公的補助支援による条件不利な中小地域のディジタルデバイドの解消
- 地域状況に応じた適材適所のブロードバンド手段の適用と相互連携(組み合わせ技術も課題)
- 光ファイバーならではのアプリケーション,コンテンツのアイデア
- 技術開発,コストダウンの推進継続(引き込み技術,既存設備への敷設技術)
- 先進事例,実施経験から地域への適用ヒント,改善フィードバック
- PR(認知度の拡大)
課題2『 下水道空間活用−通信事業者から見た下水道FTTHの行方 』
講師:深堀 政喜氏 NTTインフラネット(株) 事業開発本部調査部長
- 下水道に頼らずブロードバンドが進む状況がなぜかを考え,下水道FTTHの可能性について私見を述べる。
1) FTTHの普及状況・・・DSL増加数を追い越す
- 2002年11月政府のIT基本戦略で「5年以内(2007年まで)に,ブロードバンド3千万世帯(うち,FTTH:1千万世帯)」は達成見込み。
- 現在,希望に対し,供給側のインフラが追いついていない状況。
- ブロードバンド契約数(H17.6:2,058万件)の内,DSL:1,408,CATV:306,FTTH:341。総数はADSL(非対称デジタル加入者線)が多いが,伸び数はFTTH(ファイバーによる家庭向けサービス)が多く,1年前に比べ倍増。すなわち,ADSLで牽引し,その後FTTHの方向へ。
2) FTTHの利用価値拡大・・・公共通信,放送事業,民間情報通信,個人商取引など
- 高速情報通信社会を考えると,FTTHでないと対応が困難。
- 現在のV4(2^32)では,43億アドレスしか設定できず人口数よりも少ない。FTTHは既にV6(2^168)に対応。例えば,V4は1本の電話回線(外線)を数十人で使用する内線として使うのに対し,V6は全てのPCやヒトに回線が振り分けられている状況。
- 着実に進まざるを得ない(e-Japan重点計画,IT政策パッケージ-2005)。
- IT(Information Technology:情報技術)ではなくICT。単なる情報技術ではなく,C(コミュニケーションを含む)。
- 今後「ユビキタス社会」の構築の上では,V6(ほぼ全ての機器にアドレス設定可能)は必須で,大容量の情報を高速で取り扱うことから,メタルでは間に合わず光ケーブルとなる。「幹線のみ光」では不足。各家庭にまで光ケーブル(FTTH)の環境でないと,大容量の情報が届かないということであり,他の便利な機能も使えないということになる。
- e-Japan戦略は,2005年に世界最先端のIT国家,その後も最先端であり続けること。各国の得意分野は分かれているものの,「安価でブロードバンド提供可」の意味で日本は最先端といえる。
- u-Japan(u:ユビキタス(至る所にある)の意味と同時に,ユニバーサル(どこでも誰でも)にも繋がる。
- 地上波デジタル放送サービス計画をみると,2006年12月で約3,700万世帯(79%)。その後の普及には触れていないが,2011年7月でアナログTVが終了することは決まっている。関東圏内にも地上波が来ない予定地域あり。
- アナログでも難視聴地域はあるが,より拡大。概ね他の公共サービスも不足する地域に重複しており高齢者が多い。「医療機関等に遠くてもネットワークで在宅診察」などが言われるが,最も必要な地域には,情報インフラからも取り残されということなのか。
- 各放送局でも検討中だが,個別の局だけの対応では無理。結論としては光ケーブルしかないのでは?
- ユビキタス:ubiquitous
- ユビキタスの語源はラテン語で,いたるところに存在する(遍在)という意味。インターネットなどの情報ネットワークに,いつでも,どこからでもアクセスできる環境を指す。
ユビキタス・コンピューティングは,メインフレーム(複数で一台を使用),PC(一人一台)に続く,一人が複数のコンピュータを使う第3世代を示したもので,マーク・ワイザー氏提唱。
3) 下水道によるFTTHが進展するには・・・停滞の原因と対策
- 下水道FTTHの停滞の原因は,コンテンツ不足とコスト競争力の不足が主。
- コンテンツ不足は大きい。1つの選択肢としてFTTHがあったが,気がつかないうちに他の方法が伸びていた状況。
- 競争相手が非常に多く,コスト競争についていけていない
- 通信事業者との連携における調整も課題の一つ。下水道の「ループがない,ツリー構成(下流ほど大きい),マンホール狭い,セキュリティ甘い」に対し,通信では「ループ必要,中心部に幹線,マンホー
ルに二重蓋や鍵」であり,必ずしも一致していない。
4) 下水道空間活用の試み・・・仲間は多いほうがよい
- 電線地中化促進のコスト縮減としての既存地下空間利用として,下水道空間活用の可能性は?ただし,貸し手は「賃貸可能のルールにしてあるが本音としてはあまりやりたくない」,借り手は「使いにくいのでできるだけ使いたくない。どうしても仕方のないところだけ」の感覚があるようだ。
- 電気・電話など殆どが地中化されているのに空中にも多くのケーブルがあるのが現実。カラオケや有線のケーブルなどが多く,現在は使われていなく撤去されていないケーブルも。
- 地中に多くの管(ガス,水道,NTT,電気,など)が既に存在し,地中にはあまり空間がのこされていない。下水本管内が最も大きな空間を持ち,利用可能性。
- 下水道本管に光ファイバー設置が標準となれば,FTTHは楽に普及するのではないか。
- その他の活用方策として,光センシングによる下水道監視と予防保全(BOTDR)は管路のひずみを監視するもの。下水道未来研究会の提案33では,下水道光ファイバー網とマンホールを活用し,マンホール上に設置した情報発信装置から端末(携帯電話,カーナビ等)に提供するシステムが提唱。
5) 議論の参考
- 不利な環境:通信情報の高度化,PLCブロードバンド,民間投資との競合
- 有利な環境:ユビキタス社会の情報量,放送電波の有線化,電線類地中化の促進,民間サービスエリア外の管路新設
- 一概に,不利・有利と区別できない(・・・の反面・・・)というケースもある。
《 ディスカッション 》
1) デジタル地上波の動きと下水道
- TVのデジタル化との関連はないか。日本は,韓国のようなインターネット社会にはなっていない。日本では,TV関連から入るのが早いのではないだろうか。
- 現在のアナログ難視聴地域と,デジタルの場合とでは違うのか。現在,アナログ難視聴区域の多くはケーブルTVが延びていると思う。
- 電波が来ないと映らないのは同じ。デジタル放送は,アナログの一部の周波帯を使っているが,周波帯により届き易さがある。映りやすい地域が79%で設置終了と計画されている。既に何らかの事(ケーブルTVなど)がなされている場合もあるが,デジタル区域外が,下水道未整備地域と重なる場合が多い。今から下水道整備するところなら,同時に対応できるということが言える。
- デジタル化により,安定性がかなりアップし,移動中もOK(アナログでは不可)。
- いきなり全世帯FTTHとはならないであろうが,今でも,各放送局はバックアップとして使っており,「電波+幹線は光ケーブル」などの形としている。遠い将来は,電波中心ではなくケーブル中心であろう。
- デジタル波の整備の遅れた地域において,「光ファイバー引きたいから下水道整備してくれ」という話があってもいいのではないか。
- 現実として,下水道整備自体が面的に整備されていない。集落単位にバラバラにちょっとずつでは通信事業としても好ましくない。タイミングが合わないのも下水道光ファイバーが選択されないことの一つ。
2) デバイド整備
- デジタルデバイド(情報格差)は公共の課題であり,方策の一つに下水道がある。しかし,総務省の補助とはケタ違いである。下水道事業として行う場合は1/2の補助(過疎債などを使う場合には異なるが)であり,半分は負担しなければならない。
- 北海道泊村(下水道FTTH)は別の財源があり,モデルとは考えられない。
- 新見市はある程度モデルになる。ここでは,ケーブルTVが僅かに入っている以外は,民間通信事業が殆ど入っていなかった,という背景もある。
- 下水道光ファイバー対応に関する補助適用は可能だが,整備計画必要。下水道管理への利用は(将来計画であっても)可。行政利用については「まぁOK」という感じ。ただし,民間への貸し出しについては可否が明確に示されていない。(余力の貸し出しはできても,これを前提にできるかどうかは?)
- 指定都市レベルの規模であれば,下水道管理用で,ある程度コンテンツが組める。
- 多くの行政は,デバイド解消が行政の責任であるとあまり認識していない。(積極的にデバイド解消をする姿勢がない。)
3) 下水道空間は有望か?
- 有力な空間だと思う。CC-BOXは1kmで5.6億円(56万円/m)位と聞く。下水道管の空間を使うと,この半分くらいのコストで出来るのではないか?
- 有力な空間だとは思うが,分岐の問題や施工上の問題もあるし,面倒なので,CC-BOX以上のメリットがないと「借りたがらない」「貸したがらない」となる。
- 下水道空間を使う場合いくらであると簡単には言えない。単価はどこまで含めるかにもよる。CC-BOXの新規で56万円/mというのもよく分からない。工法だけの話なら,CC-BOXは3〜5千円で,下水道はその3〜5倍。
- 下水の空間を使うことのメリットが何かという問題。既に持っている(下水道の)機能に付加価値をつけるというものと,ブロードバンドに特化したCC-BOXとした場合,下水道にメリットがあるのか,課題解決の内容を示さないと(下水道空間利用となるのは)無理だろう。
- 下水道空間とCC-BOXとで競争しようというのではない。CC-BOXは主に幹線道路(歩道が広く施工の上で恵まれた道路)に設置されており,CC-BOXのないところで下水道が使えないかと考えている。ただし,面としてのCC-BOX整備計画もあり,こうなると下水道空間は使われないだろう。
- 下水道を使うメリットが明確に示されたら使われると思うのだが。
- 新たな掘削を行うよりも絶対に安いと思う。CC-BOXは「・・・でいくら」とあるが,下水道光ファイバーの単価は見ない。標準単価は欲しい。どのような条件の場合,ということを示しても,そのコストを示すべきだと思う。
- 下水道FTTH全体の事業費は示されている。単価に関しては,条件付であろうとも一般的に言えるほど単純ではない。
4) 下水のメリットは?
- NTTのケーブルは電柱を使っており,つまり,NTTが電力会社にレンタル料を支払っている。「ファイバーを下水管に設置するレンタル料の方が安い」と宣伝できればいいのではないか。
- 電線では,カラスが引っ張る,蝉がタマゴを産みつける,台風による被害・・・などの問題もあり,管渠内であることのメリットならあると思う。
- 過疎地ほど光ケーブルは必要だと思う。田舎では本当に電波が来ない(見えるのはNHKだけ,+1局だけなど)。
- JSでは,最初に下水道を整備するときに・・・という提案を行っている。以前は。専用線を引いて転送電話につかう,という提案をしており,今ではIP回線の提案が行われている。
- 地震時の管浮上についても,管内に端子を設置することで「検出できる」というアピールになるのではないか。
- 管渠のひずみ検出は既に実用化されている。現段階では,まだコストの問題が大きい。
- H9,建設CALSで専用線を使ったTV電話の技術が用いられた。このような使い方には光ファイバーになると思うが,ADSLでも十分やれる内容でもある。今すぐにFTTHということにはならないだろう。
5) 下水道FTTH
- そもそもの下水道FTTHの意味を再確認。事業主体は自治体であり,名目は下水道管理。余剰分を他の用途にも使えるというもの。方法としては,1)管渠空間を貸す(事業主体は誰でも可),2)芯線を貸す,3)自ら敷設する。実施している自治体の多くは,条例を策定して対応している状況。
- 実際に貸与する場合には,様々な課題があり,方法論の一般化は困難。財産の所属,メンテや管理,リスクの担保など。管理者の責任は,実際に定めようとすると結構問題となる(特に,いろいろな補助を使うとき)。
- 本格的に,FTTHを広くはじめるには,『FTTH事業法』などで,費用負担のあり方や管理区分などを明確したものができないと難しい。
- 現在は,それ以前の問題ではないか。首長が「行政の責任」と思っていないのが課題か。
- NPM(New Public Management)やアセットマネジメントの観点で,現状ではいろいろと非効率なので,インフラを多目的に使用する方策として,「下水をFTTHに」などを例示すると,「下水の生き残り作戦ですね。河川も道路も同じことを既にやってますよね」という反応がくる。
- 「生き残り」なのではなく「折角ある空間を」というPRが不足しているのではないか。
- 縦割り行政の中で,事業を横に広げようとすると,「何が優先なのか」の障壁がでてくる。「財源を頼る」をいう考えの中では,「生き残り作戦」と見られても仕方のない部分がある。
- 専門家のあつまる協議では,必ず誰かが「ウチの拡大(事業費確保)のために」という。本当の「ヒト(住民)のタメ」とは何かを考えなくてはならない。
- 客(住民)を満足させたつもりであっても,客が本当には望んでいないものになっていないか。例えば,泊村のシステムについても,「こんな高機能は使いこなせない」となっていないか。
- 本当にニーズがあれば,PRしなくても,向こうからアプローチがあるだろう。
6) その他の意見(下水道FTTHの普及には?)
- 認知されていない。説明の機会があれば・・・と思う。「分からない事は協会へ!」
- 難は沢山あるが対策もある。「だからこそFTTH」と,もっとPRが必要。
- コンクリート劣化問題(防食)とリンクした技術開発や対策の必要性。防食対策した後にケーブル敷設でブランケットをうつことは,表面を傷つけることにならないか(そこから腐食)。防食に注意した工法ではあるのだか,全くないとは言い切れない面もある。
- 導入(下水道整備とブロードバンド整備)のタイミングがうまく合えば。両者が「どうしようか・・・」というのであれば。
- 公共的に設置し,(下水に限らず)民間のメンテ企業にレンタルという手法は?
- IPフォン整備でも「町内だけ」などであればあまりメリットではないという意見もある。しかし,アピールメニューの一つとしてうたうのでよい。
- スタンスをはっきりさせることが大事。CC-BOXは「電線をなくす」という明確な目的がうたわれていた。下水の場合,たまたま空間があるんだけど・・・という感じをうける。本省のアカウンタビリティの問題か。