「海域の水質保全と下水道」
国土技術政策総合研究所 藤木修下水道研究部長
東京湾における赤潮と青潮の発生状況や、三大湾の汚濁源と高度処理普及状況について説明された。第6次水質総量規制のあり方をめぐる議論の中で瀬戸内海については、「これ以上水環境が良くなると漁業に悪影響という漁業関係者の声」があることが認識されていた。
東京湾や伊勢湾のCODは次第に改善されてきているが、大阪湾を除く瀬戸内海のCODは増加してきている。瀬戸内海の場合は外洋の影響が大きいためと考えられている。
エチゼンクラゲや有害赤潮の被害が増加しており、近隣諸国の都市活動の関与が懸念されている。また、4月に成立した環境基本法に基づき、まもなく海洋基本計画が策定される予定で、領海や排他的経済水域等の海洋環境の管理が急務となっている。沿岸諸国との協力については、「バルト海洋環境保護委員会」の活動が参考になる。
外洋で何が起きているのか?
赤潮指標(クロロフィルa)の分布
日本近海の海洋植物プランクトンの春季大増殖
出典:宇宙航空研究開発機構 http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2004/tp040108.html
現在の瀬戸内海の水環境は、日本を代表する国立公園としてふさわしいといえるのかという疑問がある。湖沼、海域の水環境の評価にあたって、日本ではCODMn という指標が使われているが、国際的にはCODCrが使われており、国際標準から遅れているのが気になる。また、水環境行政は点的な規制から流域ベースの規制へ移行してきており、流域の下水道管理者が協議する場の創出が重要である。