東日本大震災復旧・復興策についての会員提案・意見

       NPO 21世紀水倶楽部

            2011.05.25

 

資料@提案A

東日本大震災の復興対応への提案               氏名 内田 信一郎

1.        趣旨

  津波の有無は別として、大きな地震は必ず起こる。その復旧対策は過去と同じであってはならない。阪神淡路大震災より中越地震、中越沖地震さらに岩手・宮城内陸地震と立て続けに大きな地震が日本で起こっている。

  地震で被害を受けるインフラでその復旧に必要とする日数は国土交通省によると、電気が6日、電話が14日、ガスが84日、水道が90日であるのに対して、下水道は1540日と非常に長い特徴を持っている事にも留意すべきである。

  上下水道分野に的を絞った災害復旧対策が、内容、スピードおよび経済性が同じであってはならない。些細な事でもよいので、復旧方法を提案し、試行錯誤しながら、より効果的な復旧対策を実現するべく、以下に幾つかの思い付きを提案する。

  上下水道が復旧するまでの暫定期間内の主な対応として以下の点を提案する。

 

2.        飲料水の補給と仮設浄化装置の導入

  今回の大規模地震で被害地域が広いと災害用の物資の輸送が思うようにならない。また必要な救援物資を製造する工場も多くが被害を受けている。

 

 提案@: 自噴する井戸水マップを地域毎に作成する。

 提案A: 地下水をくみ出す手動ポンプ式井戸を地域毎に整備し、マップを作り公表する。この設備の単価は安い。

 提案B: 小規模膜ろ過法設備を避難箇所毎に搬入・設置して、即座に飲料水を避難民に届ける。その原水は付近の小川、地下水または海水を原水として、また停電対応としてこれらの膜処理装置は自家発電機と燃料を確保する。

飲料水程度なら1人1日あたりの原単位が小さいので100m3/日の規模施設でも充分である。

 提案C: このような小型膜ろ過装置を北海道とか東北地方とかの地域毎に大学、メーカー、研究所などで通常時は技術開発に使用・保管し、また自治体の上下水道分門でも保管できれば良い。

 提案D: 雨水を小規模貯留(東京都墨田区などに多くある天水尊のようなもの)して雑用水利用を促進する。

 提案E: 既設の雨水大規模貯留施設を災害時の水資源とする。出来れば地下滞水層状況がよければ地下浸透させ、相反するが雨水貯留施設に地下水涵養の目的を加える。

 

3.        仮設トイレ

  阪神淡路大震災以降に仮設トイレが多く設置されるようになった。大阪市でも広域避難場所のうちの23箇所に1215基の仮設トイレ下部工が出来、下水道サイドで管理している。仮設トイレ地上部は下水道サイドと区役所等が保管している。

 

提案@: 仮設トイレを地域毎、または広域避難箇所毎に設置する。仮設トイレは合流式下水道区域では管渠空間が大きく、貯留効果が大で有効である。

提案A: 仮設トイレを分流式下水道区域にも設置する方法を検討する。れらの仮設トイレ下部工は下水道サイドで維持管理する。

 提案B: 仮設トイレ地上部の仕様を統一し、地域毎に行政の区役所などが管理する。被災した全国のどこにも運搬して被災地に直ぐに設置して利用が出来るように仮設トイレ地上部の仕様は統一する。

 提案C: トイレに必要な雑用水は貯留雨水または手動式ポンプで地下水を汲み出す。又は大都市の既存の下水処理場の処理水槽から処理水を自由に使えるようになっているので、地方でもそれが出来るように施設を整え、そこから雑用水用の処理水を入手する、又はPRを行っておく。

 

4.        マンホール浮上対策の促進

  今回は特に千葉県浦安市などの海岸部埋立地域での被害が報告されているが、宮城県内、埼玉県内陸部の軟弱地盤地域でも発生している。主に砂層地域独特の現象であるので、早く液状化マップを作成(完成しているかも知れない)公表すべきである。

 

 提案@: 液状化地域のマップ(既に作成済みかも知れない)の作成と、液状化防止マンホール設置義務化。 

提案A: 安価な液状化防止マンホール仕様。費用は標準と同じ程度に下げ 

る企業努力なり技術開発を行う。

 提案B: 既設マンホールは改修時期や更新時期に浮上防止用に取り替え義務化を明らかにする(なっているかもしれない)。

 提案C: 究極は力学的に浮上しないマンホールの考案だが、面整備地域の土壌改良より浮上防止マンホール設置のほうが安いかの検討(多分安いのだと思う)。

 

5.        仮設汚水処理装置の導入

過去の地震災害の復興に伴って水道が通水すると何時もトイレ不足の問題が顕在化するので、この点を最重要と考えている。同じ事を繰り返さないことを基本的方針としたい。今回、宮城県仙台市で水道が復旧したら、マンホールから汚水が溢れたので水道をストップした残念な事例があった。これは避難所地域ではなく、一般的な被害地域の事である。一般地域と避難箇所での対応は別だ。

 

  提案@: 北欧で実績がある電気で分解するトイレの導入。

勿論自家発電機が必要。これらは避難民が比較的少ない地域対応。道路が寸断され、し尿処理場も停止中のときなどには有効だ。

  提案A: 老人用・身障者用の仮設トイレ(病人などが使用する室内トイレを想定)の保管数の情報交換をする。工事現場用のトイレ数の情報も公開しておく。

  提案B: 膜分離活性汚泥法などの実験装置を持ち込む。規模は100m3/日程度でよい。飲料水と食事用水だけでも多数の避難者の汚水を処理できる。

  提案C: この小型処理装置を各地域の大学、研究所、メーカーや自治体の下水道部門で非常時用として保管、又は技術開発に使う。災害時にはそれをトラックに載せて運び込む。移動脱水車のようにトラック積み込み型も良いかも。勿論自家発電装置かトラックのエンジンで発電して稼動させることも可能か。燃料の確保。

  提案D: 実験用のMF膜・RO 膜ろ過装置で処理した下水処理水を原水として飲料水を作り出すクローズドシステムの導入も可能である。消毒は勿論固形塩素でも良いか、電源が確保できればUV消毒を導入する。

  提案E: 下水道計画の見直し(沿岸部より内陸部に移動させる)。

今回は沿岸部の浄化施設が津波で壊滅的な被害を津波で受けた。下水道計画では下水処理施設は通常、地盤が低い河川の下流や海沿いに計画される事が多い。しかし、津波被害が想定される地域は、別途、計画地点を変更するべきだろう。例えば南蒲生浄化センターを想定しているが、沿岸部の人口密度が小さい地域では中継ポンプ場のみやや下流に建設し、汚水を浄化センターに送るが、汚水送水量も少なく非常に有効だろう。下水処理場のメイン施設を津波から防御したい。

 

 

余談(私案、迷案)

6.        原子力発電所の高濃度放射線汚染廃水の処理

  未経験の大地震で原子力発電所が制御不能に近い状態である。目の前の難題を解決すれば別の問題が露見する。放射線濃度が高いので十分な保安・点検ができていない。経験の無い原子力発電所事故で場当たり的な対応としか見えないと思う国民が多区、不安が募るばかりである。原子力関係者が結集し、過去のスリーマイル島及チェルノブイリ事故などの対応策の情報の交換を密にし、情報公開するべきである。

原子炉本体及び使用済み核燃料棒は冷やさねばならない事は間違っていない。多量の注水が必要な事も理解できるが、注入すればそれだけ高濃度に汚染された放射性排水が出るのは自明な事で、その対応策無しで進めている点が最も理解し得ない事である。現場では非常用電源が使えなくなったので場内の施設で冷却が出来ず、関係作業員が放射線汚染の危険を顧みず尽力されているが、外部から特殊車両や消防車などで建屋内に放水・冷却しなければならない。それに伴って熱で蒸発して水量が減少しているはずだが、建屋内に多量の放水量が溜まり、日毎に放射線に汚染された水量は増加すると思うべきである。対応策の全体像が全く見えていない。10000m3級のバージ船貯留では物理的に間に合わないのは自明な事である。また、その高濃度放射線汚染排水をどう処理するのかを報道しない。何故か。国民の疑問が更に高まるばかりである。

原子力工学の専門家が多くTVなどに出てくるが、誰一人として注入量に見合って増加する高濃度放射線汚染排水処理について述べる学者が出てきて説明しないのは残念である。放射線廃棄物及び排水処理の専門家はいないはずは無い。TVや新聞でもこの点を伝えようとしていないのは残念である。

文部科学省が福島県の学校などのグランドの放射線量が高い所は表土を除去する指示を出した。最初、放射線は表土の数cmまでで固定される事を充分に知らせず、TVなどを見ているとグルドーザーなどで表土を除去していたと思う。その膨大な放射性汚染土の処分のことを考えていなかった。セシウムやストロンチウムは土壌の数cmでほぼ固定される事を理解していなかったようである。このような基礎的な研究成果は日本で約40年前に終わっている事で、間違った第1点。文部科学省なら何故グランドの土砂のみかと疑問を持って欲しい。降雨はほぼ均一に放射性物質を地上に降りまく。学校の緑地、通学路、屋根の樋、公園など、どこでも放射性物質で汚染されている。各家庭の家の周りにも放射性物質が降り注いでいる。学童がそれらの汚染地域で遊んだりする時間とグランドで遊ぶ時間とはどちらが多いのか。これが間違いの第2点。文部省なら何も言いたくないが、文部科学省となっているのでクレームを付けたい。5月23日夜、朝日放送系列TVの夜10時台の「報道ステーション」にこれを裏付ける内容の報道があった。

 

 

 提案@: 原子力発電所は海岸を避け、少しでも海面より高いところに設置し、冷却用の海水を大口径トンネル経由で取水・利用するべきである。多量の冷却水の汲み上げによるエネルギー損失は放流水を低落差発電である程度カバーすればよい。

 提案A: 津波よけの防波堤を強固にすると共に、高濃度に汚染された排水が地震で被害を受けた建物から地下水に浸出しても、地下水を広範囲に汚染しないように連続地中壁で地下水を遮断する対策を取っておく。もし、放射線に汚染された排水が地下に漏れても土壌で放射性物質は吸着・固着されて地下水は連続地中壁外に移動しないようである。

 提案B: 高濃度汚染排水を処理する放射線吸着剤の例えば、ゼオライト、バーミキュライトや活性炭等を充填した処理装置を設備しておく。福島原発にこれらの装置があるのか、無いのか情報が出てこない。不思議な事である。無いのならリスク管理に手落ちがある。これらの基礎研究・データー収集は昭和40年代前半に行われているようであるので、それらを活用すべきである。そのような基礎的研究があるのを40年以上経過して知らない関係者が多くなっているかもしれない。高濃度放射線汚染水量を1/1000〜1/10000のゼオライト容積で除去減少できるので、処理後は減容され高濃度放射性物質を含んだゼオライトはガラス繊維およびキレート反応を利用・固化し、六ヶ所村などで保管する。

セシウムは+1価、ストロンチウムは+2価の金属類と同じ性質を持っているので凝集剤をうまく選択して使用すれば除去も可能なようである。このように高濃度放射線物質をゼオライトはよく吸着除去するが、福島原子力発電所で採用された海水中にゼオライトを投入すると、海水中の陽イオンのナトリウムなどと競合するのでゼオライト除去率が落ちる。故に地上の処理施設でゼオライト等による凝集沈殿・吸着処理を行う方法がベターと思う。

極論であるが建屋内の高濃度放射線排水中にゼオライトを投入する方法もあるのではないのか。放射能を吸着したゼオライトは高濃度に汚染されているので十分な取り扱いが必要と思うが、排水中の放射能は相当低下しているのではないのだろうか。放射性物質に汚染された100000m3の排水には10〜100m3のゼオライト量で処理できるのではと思うが、全くの私案・迷案である。そのゼオライトは福島県や山形県に多く存在する。

 提案C: 放射線に汚染された周辺農地等の土壌改良方法の検討

    セシウム等は土壌によく置換・固定されるので表土の数cm以深には入り込まない。また一端、土壌に放射性物質が置換・固定されたセシウム等は米などには以下述べる条件外では移行しにくいと思う。

農作業による施肥中野硝酸塩や硫酸塩等とセシウムやストロンチウム等が反応するようであるので、また植物が根酸を分泌して土壌条件が変化して安定固化しているセシウムやストロンチウムが地下水に移動できるようになる反応が起こるかもしれない。チェルノブイリでは放射線に汚染された農地の改良にひまわりが植えられて放射線物質を農地から除去しようとする試みが行われているが、詳しい情報は分からない。日本でも菜の花で同じ事を行うことが言われている。これらが効果あるのならそのメカニズムを明らかにして欲しい。また植物に移行した放射性物質をその後どのように処理するのかの対応策も示して欲しい。またEM菌を繁殖させたセラミック粉体を放射線で汚染されたチェルノブイリ地域の農地の1画区に敷き詰めると表面の放射線量がゼロになったとされているが、そのメカニズムが分からない。

降下煤塵などから農作物表面に落ちたヨウ素は半減期が短く、また洗えば除去できる。セシウムなどは水蒸気を経て大気中には多くは飛散しにくい。ストロンチウムはもっと飛散しにくい。

茶葉や他の農作物からセシウムが検出されている。洗浄しても放射線濃度が低下しないのかが知りたい。科学的に判断する正確な情報が少ない。福島県中浄化センターの脱水汚泥や溶融汚泥から物凄く高い放射能が検出された。必要な情報は流入下水中の放射性物資の物質収支である。汚泥中に相当量の放射性物質が移行したと思うが、もし、それが低いのなら処理水に多く流出し、阿武隈川の底泥などに、または阿武隈川から太平洋に流出しているのかの判断材料が欲しい。活性汚泥は放射性物質を効率よく吸着固定できる可能性があるかもしれないので物質収支の公表に期待している。これは微生物のもつ凝集性作用によるものであろう。放射性物質は超微粒子の物体だと思う。水道水が放射性ヨウ素に汚染されたとき、浄水場で活性炭、又は粉末活性炭が効果的だといわれたことにも整合性がある。

 提案D: 原子力発電に変わる水素発電の技術開発。

   下水処理場でメタンガスから水素を取り出して発電する燃料電池方式実証済みであるが、規模が小さく、また未解決な問題もあって、コストが通常の電気料金より高くなっている。しかし、今回問題になった東京電力などでは天然ガスを改質して水素を取り出した燃料電池方式で商業発電して供給している。この点、すなわち、規模が大きくなれば商業ベースに乗るので、その他の問題を克服する水素発電を下水道サイドで技術開発するべきだ。

例えば、東京都下水道局で下水汚泥を全量消化処理して消化ガスを1箇所に集め、ガス発電する。そこから改質して水素を取り出し燃料電池又は水素発電などにより下水処理施設での電気需要量を自給自足できるようにする。

この場合、合流式下水道対策が完了するとディスポーザーが設置でき、更に消化ガス発電量は多くなって電力不足問題に寄与できる。全国の下水道施設で必要な電力は全電力量の約1から2%程度であるが。現在水道公論に『カリフォルニア州南部沿岸地域での下水道と水資源・水環境問題』に記述しているように、カリフォルニア州ではディスポーザーが家庭等で設置義務化されているので、流入下水濃度が濃く、処理場では消化ガス発生量が多くなって、消化ガス発電量で全処理施設の運転に必要な電力が全て賄われている。

水資源も不足している地域であるので下水の2次処理水はMF膜ろ過やRO膜ろ過して間接的に水道水源として利用されている。これらの応用が被災地域でも小規模で導入が出来るものがあると考えている。

 

資料A提案B

東日本大震災復旧・復興策についての提案・意見

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

題目   津波に耐えるまちづくりなど                           氏名 亀田 泰武

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

意見・提案

●津波に耐えるまちづくり

1,はじめに

 津波に耐え、できるだけ被害が少なくするまちづくりが求められ、それは高層化である。

 高齢化社会で避難が難しい人々も増えていて、考えていかなければならない。

一方、今回のような大津波は百年に一回あるかないかの希なものであることも考えていかなければならない。

2,建物の規制

 津波の来襲が想定される区域を定めて、そのなかで鉄筋コンクリートなど津波に流されない建物しか建てられないようにし、避難が容易なように、高台への避難路を確保し、高台から距離がある地域では、大津波時の避難先となる高層の建物や、巨大地震でない津波警報時の時の5階建て程度の避難建物が、一定距離内にある場合のみ建築を認めること。

 緊急避難が難しい病棟や老人保健施設を5階以上に設置すること。

 避難地となる高層住宅では電気室やエレベーター制御機器もできるだけ高いところに置き、基幹となる送電線を山から、高層住宅から張り出した電柱をつなぐように配線すること。

 

●避難場所となる高層住宅の早期建設

1,はじめに

 今回の津波は、対策の考え方を基本的に変えなければいけないことを示している。これまでの数メートルしか対処できない防波堤は効果はあるものの限界があり、十メートルを超えるような津波に耐えるよう、お金を最も効率的につぎ込まなければいけない。

 これまで大きな津波被害のあと、高台に住むことが大事と分かっていても、ついつい便利な低地に、高い密度で家が造られてきた。地震予知は難しいが、津波予知ができるようになってきた現在、対策の重点は円滑な避難ということになり、高台が遠い低地のシェルター整備ということになるが、単独では大がかりなものになり、多額のお金がかかる。

2,鉄筋コンクリートの建物

 今回の津波で特徴的だったことは鉄筋コンクリートの建物の躯体が殆ど無事で、避難場所にもなったこと。そこで今後の津波対策の基本は、安心して避難できる10階以上の高層の建物を低地のあちこちにつくって避難しやすいようにしておくこととすべき。津波で低層部分がやられても、建物の相当の部分が残るので、復旧費用も少なくなる。また、食料、生活物資など上の階の人の分が確保でき、何もない状態とは全然違う。避難距離300mの範囲内でこのような集合住宅を建てれば、住宅建設と防災を兼ねた効率的な方策となりうる。

3,早期整備

 リアス式の地形では高台の土地もあまりない。平屋の仮設住宅が低地にあったら皆敬遠するであろう。仮設住宅の建設と平行して、津波被災地域に、高層住宅建設を進めればその分住宅難の解消が進み、安心して住める。また、仙台市海岸地域では、高台は遠くにしかない。被災地域に住んできた人の大半は生活の礎がそこにあるので、別な場所にいくことは耐えられないことである。また、別の場所が、安全かといえばそんなことはない。急斜面を造成した宅地を考えてみればわかる。プレートがぶつかって押し合う日本はどこも不安定な場所。

 一方、鉄筋コンクリートの建物は、仮設住宅にくらべコストが高く、長く使えるようにしないといけない。そこで、一戸あたり広めの高層住宅にして、当面一戸に複数家族が応急的に暮らし、その後住宅事情が良くなったら普通の住宅にしていくことにより、長期に住環境が確保される。

●津波に耐える下水道

1,基本事項

 大震災によって下水道の計画を基本的に変えることはない。津波が来襲する可能性がある場所は全国至る所にあり、逃げることはできず、耐えるまちづくりが必要で、街は高層化が必要であるが、街がなくなったりすることはない。

2,津波に耐えるために

 海岸に立地している下水処理場で、海岸道路が津波に耐えるようになっていない場合、津波に耐えるように処理施設海側にバリアーを設置する。津波は上陸の際ある程度減勢され、それほど強固でない陸上構造物でも、耐えることができ、建設費も海に建設するより大幅にコストダウンできる。覆蓋など処理施設と一体的につくることができると費用が安く、より安全なものとなる。

 完全に防ぐことはできないと考えられるが、ひたひたと来るなら被害もひどくはないであろう。今回津波が家や自動車などと一緒に強い流れできたために破壊が大きかったと思われる。

 また、仮設の施設を設置する場合や、施設の大改造、に対処できるできるだけ広い土地を確保しておくことが必要。

 復旧に時間がかかる電気室などを規模の大きな処理場では津波が来ない5階以上に設置するか、津波が侵入できない構造にする。

●液状化などで管路システムが機能しなくなったときの路上配管システムの開発

 早期に応急対策を行わなければならないため、迅速に設置し、下水を幹線下水道まで送水できるシステムが求められる。システムは道路横断部で車両通行、負荷に耐える仕組みが必要で、汎用の資材をできるだけ使い、軽量のマグネシウム合金を用いた配管防護施設、高さの低い柔軟な配管、送水ポンプ付きの貯留槽などを開発し常備しておく必要がある。

●暫定生物処理施設機器の開発

 生物処理が当分復旧できない場合に備え、水槽を掘削し、シートを貼り、そこに迅速に設置でき、運転可能なエアレーション装置と返送汚泥ポンプまたコンテナに設備した濃縮・脱水機、を開発し、広域的に常備しておき、現地ですぐ運転できる体制としておく。

機器はできるだけ構造が簡単で、汎用資材を活用でき、柔軟性、適応性があることが求められる。数が足りなくなってもすぐ生産が可能にしておく。

 ビニールシート越流堰の高さを微調整できる部材の開発もあるだろう。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

骨子

●津波対策として

○津波に耐えるまちづくり。  地域を指定して

1,津波に流されない建物とし、できるだけ高層化する。

2,大津波警報とその他の津波警報に応じ、速やかな避難ができるようにする。

 300m以内に20m以上の高台、ないし10階建ての避難建物があること。100m以内に10m以上の高台、ないし5階建ての避難建物があること。

○避難場所となる高層住宅の早期建設

安心できる避難場所になり、住宅難解消につながる高層住宅の早期整備

○津波に耐える下水処理場

1,低コストで、津波バリアーとなる構造物の整備

2,臨時施設などが設置できる用地の確保

3,復旧に時間がかかる施設を安全な場所に

●液状化対策として

○迅速に設置できる路上配管システムの開発

●暫定生物処理として

○造成池に迅速に設置運転できる、エアレーション、汚泥返送機器、コンテナ設備の濃縮・脱水ユニットの開発

 

 

資料B提案C

東日本大震災の復旧・復興への提案

寒冷地ならではの震災復興                      氏名  齋藤 均(伊達 萩丸)

 

今回の震災で被災者になった者のひとりである。我が家は都市ガスが通っていて、部屋が6階である事、灯油を1階まで取りに行くのは結構な作業になる事、新潟で自然界から発生したメタンなので、温室効果の抑制に寄与しているという気持ちがある事、燃料が余らない(ガス栓を止めればそれでいい)ので、灯油のように燃料を余らせてしまって、劣化した灯油を無理に使用する必要が無い事などから、調理用のレンジだけでなく、暖房も都市ガスを使用している。

そのガスが止まってしまったので、非常に寒い日を過ごす事になりそうだった。(だったと言うのは、群馬県の実家に疎開していたからである。)もちろん、群馬県の実家も暖房にはガスファンヒーターを使用しているが、電気が止まってしまったので、ファンヒーターは丸1日使う事が出来なかった。しかしそれも1日だけ。電力がすぐ復旧したので、ガスの暖房と風呂の恩恵にあずかる事が出来た。

 被災地の中心として「仙台市」として仮にのべる。仙台には12年生活しているが、冬、寒いので、ゴキブリが出ない。萩丸が多少残渣を乱雑に台所においていても、ゴキブリが出ない。これは嬉しくかつ珍しかった。また、仙台駅に地下のコンコースがあるが、ダンボール住人を見た事が無い。というより、冬季に地下のコンコースでダンボール住人をしたら、凍死してしまう。

 仙台も平成バブルの華やかなりし頃、国分町で大量に飲酒し、そのまま市役所の前の勾頭台公園で寝てしまって、朝、市役所の人が見たら凍死していた。なんて事がしょっちゅうあった。 振り返って、今回の震災だが、体育館の床の上に着の身着のまま毛布だけというのは、とてもじゃないけれど寒くてたまらない。十数名のお年寄りが、寒さで肺炎を起こし亡くなってしまったそうだ。 今回は主な災害要因は「津波」である。そうすると、もと家が建っていた場所に、バラバラの材木と屋根になった家がある。この材木は、シロアリ防除の為に多少の薬品は染込ませてあるが、チェーンソーで細切れにすれば、そのまま薪炭材として利用できる。料理に関しても、お米はあるのだから、あとは、水だけ何とか確保して、炊事が出来るのだ。

また酒どころなのだから、体を温めるために「甘酒」を造ってもいい。とにかく、東北地方の土木の飯場には「だるまストーブ」がまだ現役で活躍している所がかなりあり、だるまストーブ自体も、仙台市内で入手可能だ。体育館内には、消火器がセットされているから、後は、煙突を何とかして、(2階に廊下があるから引きやすい)だるまストーブをガンガンたいたら良かったのに。と思ってしまう。

 瓦礫は膨大な量になっているし、行方不明者を探すのに、瓦礫が邪魔をしている。こんな時こそ、瓦礫を一からげにするのではなく、「燃やしていい物」「金属」「ガラス」と分けて、(分ける事が出来るならば)「燃やしていい物」を燃料として、暖房や炊事に使えるようにすればいい。全量埋立てだと、かさばってしょうがないが、「燃やしていい」使えない物を燃やしてしまうのであれば、かなり瓦礫の減量化につながるし、第一、避難した人の暖房・炊事に力強いパワーを発揮する。

 ニュースで、だるまストーブ会社が、試作の五右衛門風呂を2基作って、避難所の人に入ってもらっていたが、木材などは特に「カーボンニュートラル」の燃料なのだから、大いに薪炭材として利用する事を考えよう。そして、灰が出たら、いまだに低地になっていて海水が引いていかない田んぼにまいてしまうのだ。灰のアクと塩分が少しは中和しないだろうか? また、ストーブに使えないような木材は、チップ材として細かくして、富士市に運んで再生紙として利用する。こういう案を出して、処分しなければならない瓦礫を、出来るだけ有価物として、利用する事を考えていくのが技術者の務めだと思う。

 

資料C提案D

東日本大震災復旧・復興策についての提案・意見      

>廃棄物行政も下水行政も一本化した都市が必要では?         氏名  清水 恰

 

>たとえば生ごみをディスポーザで下水道にに取り込み初沈汚泥として回収する。さら

に余剰汚泥とともに熱変成させてバイオガスとしてエネルギー回収を行う。

> 熱変成により汚泥分解率は60%以上となりガス発生量も20%ほどアップする。

>熱変成汚泥は含水率50%以下となり生ごみの入らないゴミ焼却炉で蒸気発電として

エネルギー回収を行う。

>そのためには下水処理場もゴミ焼却炉も同じ敷地内に建設する必要がある。

 

資料D提案E

東日本大震災復旧・復興策についての提案・意見

移動式汚水処理設備の開発・整備                        氏名  中西 正弘

 

船舶あるいは車載型汚水処理設備を開発・整備、被災地に持って行き、汚水処理を行う。大量の水処理は難しいが、移動できるので、避難所近くに置き、汚水を処理すれば、水洗トイレが使える。

水道においては民間会社がトラックにろ過機、滅菌機を載せた車載型浄水設備を開発している。3年ほど前の岩手・宮城県内陸地震のとき、簡易水道の浄水場が壊滅的被害を受け、しばらく復旧が困難であったため、車載型浄水設備で復旧するまで浄水処理を行い、給水した。

 

下水道における節電・停電対策

 

原発事故、原発停止によりこれから節電が必要になる。下水道において節電・停電対策はどうすべきであるか。夜間電力を利用した集中的処理は可能か。

 

下水道の使用中止命令は効果あったか。

 

千葉県浦安市は震災被害により下水道が復旧するまでの間、市民に下水道の使用中止命令ないしは要請を行ったが、効果はどうだったのだろうか。