東京湾干潟ウオッチングから     NPO21世紀水倶楽部研究集会2011/02/24
   亀田 泰武
 東京湾では過去に380km2の埋立が行われ、干潟が136km2から16km2になっていると推計される。同じ閉鎖性水域の琵琶湖と比較すると、人口が20倍近い。河川の流入より、干満による出入りが大変大きく、この潮の出入りによって、水質は同じ程度。これから内湾は湾口部と湾奥部と分けて考えた方がいい。東京湾のCOD値は過去少しずつ改善。琵琶湖はBOD値は減っているがCOD値は少しずつ増えている。
 活き活き東京湾研究会をつくり、調査や残された干潟見学を行ってきた。二一世紀水倶楽部発足後は干潟調査を一緒に企画している。
○多摩川河口部
 平成16年と20年の夏に観察。大師橋下流芦原のアシハラガニは多数生息。しかしかって潮干狩り場であった、空港の干潟は寂しい状況。多摩川本川が2010年にアユの遡上が2百万匹なるなど改善されているのと対照的。20年調査では小アサリが糸を出してシオフキガイにくっついていた。物理的生息条件も良くなさそう。外来のホンビノズガイがいくつか採取された。
○木更津干潟(三番州)
 平成18年と21年の夏に調査。18年の時は至る所アサリだらけであった。21年では非常に少なく、他の貝種も少なかった。

 アサリの生産量は近年何処でも減っている。東京湾では稚貝はけっこう多く見られ、生息条件さえよければ増殖すると思われる。アサリの減少の原因はよく分からない。新たに土砂が入ると復活する。

 研究会では過去に、現在実施中の施策に加え、次の提案をHP上にしている。
○春から夏の植物プランクトン増殖期に栄養塩を少なくして、冬場では増やす、季節により排出量を変動させる。
○シリカや鉄など良好な食物連鎖に結びつく微量物質の補給を考える
○幼年期魚介類の採取を制限する

 まとめとして、
1、朝夕による水の交換がある東京湾では、沈降した藻類による青潮が発生する湾奥部と外海に近い湾口部では状況が相当異なる。
2,湾内の生態を考え、水の交換が早い内湾では夏期と冬期の栄養塩類排出量を変動させた方がいい。
3,広範囲の干潟が埋め立てられてしまったが、残された干潟も元気がないように見える
4,湾内で藻類、動物プランクトン、魚貝類という連鎖がうまく動いていないようである。
5,生物連鎖がうまく機能するように、失われている部分を埋める方策が求められる。