水道水の塩素
1,はじめに
 水道水には病原性微生物を発生させないよう消毒のための塩素が含まれています。
 塩素による消毒は水道法で水道水に義務づけられています。
 
2,塩素消毒の由来
 日本では1922年(大正11年)に東京と横浜で液化塩素を水道水に注入したのがはじまりです。1957年(昭和32年)に水道法が制定され、すべての水道で塩素による消毒が義務づけられました。

3,塩素量の規定
 水道水の消毒力の保持のため、水道法では、活性が残っている残留塩素の濃度の下限は「末端の蛇口」で平時で0.1ppm以上、水系病原菌汚染の存在が疑われる時は0.2ppm以上と規定されています。

4,カルキの臭い
 昭和50年代頃から、水道水がカルキくさくてなんとかならないかという要望が強くなりました。
この原因ですが、人口の都市集中により、水源に家庭排水が流れ込むようになったことでした。家庭排水の有機物質は塩素と反応してしまい、臭いが出たり、消毒の効果を高めるために余計に塩素を注入しなければならなかったり、などのことがありました。
 最近では下水道整備による水源の水質改善が進む一方、こういう水を微生物やオゾン、活性炭などで処理する高度浄水システムが多くの浄水場で実施されるようになり、大きく改善されています。
 
5,世界では
塩素消毒制度はアメリカから入ってきたようです。 アメリカでは日本と同じく塩素が入れられています。一方、ヨーロッパの水道は塩素消毒をしてるところとしてないところがあるようです。パリでは塩素は使わず、浄水場でオゾンを入れて殺菌しているそうです。こういう水道水は、配水途中で細菌汚染された場合、殺菌力はありませんが、塩素の臭いはありません。