家庭排水と環境ホルモン

 人や野生動物の内分泌作用を撹乱し、生殖機能阻害、悪性腫瘍等を引き起こす可能性のある外因性内分泌撹乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)による環境汚染が問題になり、国、地方公共団体の下水道部局が広範囲な調査を行いました。その結果は平成13年に発表されています。(国土交通省HP)
 処理されない状態の家庭下水には17βエストラジオール(女性ホルモン)が含まれるのは当然ですが、他の環境ホルモンも検出されています。

 下水処理施設での挙動
 流入下水中の環境ホルモンは女性ホルモンを含め、下水処理の過程で大きく低減し、物質の種類により相違はあるものの、多くの物質で放流水中では90%以上減少。さらに、高度処理を行えば、多くの物質でほとんど検出されないレベルにまで低減。


環境ホルモンと言われる主な物質の例
 4-t-ブチルフェノール、4-n-オクチルフェノール、ノニルフェノール*、ビスフェノールA、2,4-ジクロロフェノール、フタル酸ジエチル*、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル*、フタル酸ブチルベンジル、ベンゾ(a)ピレン、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、ベンゾフェノン*、スチレンの3量体の2,4,6-トリフェニル-1-ヘキセン、n-ブチルベンゼン、ノニルフェノールエトキシレート*、ノニルフェノキシ酢酸類*
17βエストラジオール(女性ホルモン)*

*は調査した流入下水全サンプルで測定された物質(μg/lのオーダー)。