人の生存に必要な水
1,はじめに
 人の生存に必要な水はどれくらいかとという話がよく取り上げられ、飲み水としては一日最低2リットルlあればいいので、水道で使われる200リットルl程度の水は多すぎると言われることがあります。

2,人が生きるためには
 人が生きていくためには水と食べ物が不可欠です。食べ物の生産に必要な水を考えます。
  仮想水(バーチャルウォーター)という概念があり、食料など生産に必要な水の量を示すものです。穀物について見ると、小麦で2000倍、米で3600倍の重さの水が使われるとされています。人の生存のため一日に最低1600kcal必要と考え、一番水使用の少ない小麦でまかなうとすると、その量は4百g。この小麦生産に必要な水の量は800リットルにもなります。これが生存のため最低必要な水量なのです。実際にはカロリーの低い野菜や、もっと水消費の多いタンパク質などの食べ物も摂取しなければならず、結局1000リットルを超えることに。直接の消費でないため隠れていますが、人の生存に最低必要な水の量はこんなにもなるのです。水道に使われる量の何倍もの量の水が人の最低の生存に必要なのです。我が国では、米が主食と言うこともあり、一人当たりの食料生産に必要な水の量は2000リットルを超えることとなります。

3,貧しい国では
 貧しい発展途上国で、乳幼児死亡率の減少など医療援助、井戸掘りによる最低の水の確保など人道的援助によって、人口が増えると、人々の生存のため結果的に大量の水が必要となります。飲み水があればいいという認識が一般的ですが、食べ物確保のための大量の水が必要になることも考えなければなりません。飢餓は大変恐ろしいことです。
 人口の増加に対し食料を輸入できる経済力があればいいのですが、多くの発展途上国は外貨を稼ぐ産業もなかなかない状況にあります。こういう国で人口が増えることはますます、国内の資源の奪い合いをもたらすこととなり、また食料援助が求められるなど、より自立できない構造になっていきます。
 これらの発展途上国では人口増をできるだけ抑えていくことが最大の課題ではないでしょうか。