水質改善が進まないのは富栄養化問題があるから 2003.3
我が国の水質目標達成の状況
水域の水質目標であるBOD,COD水質環境基準の目標達成状況の変化(1981年から2001年)はどうなっているでしょう。
環境省によれば河川は20年前に達成率65%だったのが82%までに上がっています。湖沼は42%が45%へほんの少ししか上がらず、海域は80%程度で変わりません。
琵琶湖 東京湾
湖沼、海域の改善が進まないのは富栄養化問題によるためです。
家庭排水に含まれる窒素、リン(栄養塩類)が生物処理では多くて6割程度とあまり除去されで水域に排出され、植物プランクトンなどがこれを利用して増殖し水中の有機物量を増やしてしまい、結果的にCODの濃度を上げてしまう(富栄養化現象)ためです。
琵琶湖、霞ヶ浦などでは高度処理が実施され窒素リン除去を窒素で3/4、リンで9/10以上除去しています。しかし湖沼の許容量が小さいため、水質の改善は遅々としています。
琵琶湖の窒素リン負荷
各種水質保全対策が大がかりに実施され、各地で清流が戻ってきているいま、富栄養化対策が一層大きな課題となっています。
窒素とリンは生物の生存に不可欠なもの
植物の炭酸同化作用の中で窒素やリンは重要で、動物は植物からエネルギーを得ていますから、窒素やリンがないと生物がいない死の世界になってしまいます。窒素やリンはある程度は必要なのですが、今の問題は湖沼や湾で多すぎることです。
地球上で見たら栄養塩類が足りない水域の方がずっと多い。