開催報告 水環境ひろば➀~ NPO セッション  下水道展’17 東京
               8月1日(火)~8月2日(水)
 「下水道展’17 東京」併催企画として「水環境ひろば NPO セッション」が8月1~2日、 東京ビッグサイト東4ホール商談室1において開催されました。
 同セッションは、水環境ひろば実行委員会(雨水市民の会、日本水フォーラム、みずと みどり研究会、21 世紀水倶楽部)が主催したもので、NPO 等各市民団体の活動内容につい て紹介し、個々の団体のこれからの活動の参考にしていただくとともに、国土交通省との 共催によるシンポジウム「水環境ひろば~市民科学と下水道~」で取り上げる「市民科学」 について考えることを目的としました。
 初日は 14:00~16:00、2日目は 10:00~12:00 にそれぞれ行われ、初日には約 30名、2日目には約 15 名の参加者がありました。 各団体の発表および、発表者と聴講者を交えた全体討議の内容は以下のとおりです。

**************8月1日**************
○EM を科学する
      NPO 法人 戸田の川を考える会 会長 大石 昌男
      NPO 法人 戸田の川を考える会 事務局 長谷川 孝雄
当会では、長らく EM を河川に投入することが河川水質に汚濁負荷を与えることになる として、その誤った考え方を改善する活動を繰り広げてきた。戸田市では、EM は市が人、 物、カネを提供して、文字どおり「やらせ」の活動を展開してきた。その経緯やこれまで どんな活動をしてきたかを事例発表するとともに、その活動を市民科学としてより説得力のあるものにしていくには今後どのようにすればよいか問題提起する。

○~川ごみは社会課題~ STOP! 川ごみ
       NPO 法人 荒川クリーンエイド・フォーラム 五十嵐 実
 荒川では大量のプラごみが干潟のヘドロ化など水質悪化を引き起こしている。一方プラ ごみは紫外線で劣化し細分化する。5㎜以下のものを通称“マイクロプラスチック”と呼
ぶが、海水中に高濃度に有害化学物質を吸着し、食物連鎖に組み込まれることが国際的に 懸念されている。また、2050 年海は魚よりごみのほうが多くなるという研究結果もあり、 今やごみ問題は地球規模の問題である。荒川クリーンエイド・フォーラムはごみを拾うだ けでなく、ごみの傾向を調べ、そのデータを市民科学として環境保全の普及啓発に活用し てきた。最近では大学機関と協力し、ごみ発生メカニズムの解明と効果的なごみ回収法の確立を目指した調査を開始している。

○雨のゆくえが見えるまち・くらし~雨水市民の会の活動より~
       NPO 法人 雨水市民の会 理事 笹川 みちる
 NPO 法人 雨水市民の会では、だれの頭上にも降る雨、だれも毎日お世話になる水につ いて、雨水貯留の実践や水質調査、実験プログラムなどを通して、市民ひとりひとりが自 分の生活と結びつけて理解・行動するためのきっかけづくりを行っている。市民目線での 研究開発や発信を続けることで、地球規模の気象現象・国レベルでの取り組みと日々の生活の橋渡しを目指す取り組みについて紹介する。

○行政と市民の良い連携を育むために
      東洋大学 PPP 研究センター リサーチパートナー (一般社団法人 Water-n(ウォータン) 代表理事) 奥田 早希子
 市民科学を社会的課題の解決に生かすには、行政と市民の「連携」が欠かせない。良い 連携を育むために必要な要素について、PPP(Public Private Partnership、公民連携)の視点から問題提起する。

○全体討議

コーディネーター
   (雨水市民の会 理事長) 山本 耕平

 各発表事例での悪戦苦闘の状況や各団体が考える市民科学、市民科学が目指すもの、期 待や課題、連携に対する考え方などを議論した。

 
  8月1日水環境ひろば NPO セッション全体討議のもよう
**************8月2日**************
○東京湾既存干潟の定期観察
       NPO 法人 21 世紀水倶楽部 前理事長 亀田 泰武
 東京湾既存干潟の定期観察を 10 年以上長きにわたって行ってきたが、その定期観察の全 般的な傾向やアサリの生息状況などを報告するとともに、定期観察結果から得られる問題 点を考え、干潟に関わる今後の提案を行う。

○綾瀬川にアユがやってきた
       NPO 法人 エコロジー夢企画 理事長 三井 元子
 綾瀬川にもアユが登ってきているらしいというので、2014 年から始まったアユの遡上調 査。年々稚アユの採集量が増えて、今年6月の調査では、54 匹が採取できた。10 月にはア ユ目線で綾瀬川を登ってみようとEボートに乗ってみると、新たな発見が……。

○ひろがる つながる 全国水質調査
       みずとみどり研究会 事務局長(全国水環境マップ実行委員会 事務局) 佐山 公一
 市民と行政、企業が連携をして実施している「身近な水環境の全国一斉調査」が 14 年目 を迎えた。これまでの 13 年間では延べ9万2千人の市民が水質調査を通じて身近な水辺を 調べ、市民団体や学校などで地域の保全や水環境の勉強会などに活用している。本調査の紹介や今後の展望として下水道との連携などを紹介する。

○全体討議
コーディネーター
  (みずとみどり研究会 事務局長) 佐山 公一

 各発表事例での悪戦苦闘の状況や各団体が考える市民科学、市民科学が目指すもの、期 待や課題、連携に対する考え方などを議論した。


 
  8月2日水環境ひろば NPO セッション全体討議のもよう