● 排水の通り道
台所、洗面所、洗濯機置き場、風呂場、トイレなどの汚水は器具排水管に入りトラップを通って、屋外排水設備(家の周囲に設置されている排水管)を流れて下水道に入ります。
屋根、庭などの雨水排水は建物内では汚水管と別系統で排水され、分流式では汚水と別の管で道路の排水管(側溝の場合もあります)に行きます。合流式では雨水排水は汚水と一緒になって下水道管に入ります。
○集合住宅
集合住宅の場合、排水口からの配管は排水横枝管を流れ、排水立て管で下の階に落ちていきます。
トイレと雑排水を別系統で流している例が多いようです。また1階で上からの排水があふれることのないように、1階の排水系統を別にすることが多く行われています。排水立て管は、水の落下によって思わぬ圧力がかかることがあるので、通気立て管を隣に設置し、排水管にところどころで連結して圧力を逃す工夫がされています。排水立て管から排水横主管を経て屋外に出ます。排水立て管の中に空気の通り道をつくるようにして、通気立て管をなくす集合管(伸頂通気管)も増えています。この場合下部の排水横主管からも通気させることが勧められていますが、通気量が確保できる管サイズで設計するなどして、設置は少ないようです。また標準的な図面にある、各階の横支管からのループなどの通気管も集合住宅では横支管が短いためか、設置されることはあまりないようです。
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滝のように流れる立て管から流れがゆるやかな横主管に変わるところでは、流れが止まりやすく,掃除口を設けるなど設計・工事に注意が必要です。
集合住宅では排水横枝管を1,床スラブと床の間に設置する場合(最近多い)と2,床スラブと階下天井の間に設置する場合(比較的古い)場合とあります。後者の場合、床スラブと床材の間隔を狭くできますが、排水管の補修や更新の際、階下住戸の天井を開けて工事しなければならなくなります。このことから、排水管更新の際、排水たて管の床スラブ上に横枝管接続口を設け、各住戸のリフォーム時に横排水枝管を床スラブ上に設置してもらう方法などが行われています。
床下にはこのほか給水管、ガス管などが収容されています。排水管は自然流下で流れるため、一定の下がり勾配で配置しなければいけませんが、一方で口径が大きいので狭い空間内での設置が大変です。 勾配が取れないところでは詰まりなどの原因になったりします。横支管が長い場合、管の始点に掃除口を設置したほうがいいでしょう。
高層集合住宅では多数の排水横枝管を一本の排水立て管に接続する排水集合継ぎ手が用いられます。排水集合継ぎ手は各々の排水横枝管をできるだけ直接排水立て管に接続し。排水を管肌に沿って渦巻状に流すことで管内の空気量を確保し、排水管内の圧力変動を押さえています。
○戸建て住宅
これまで、左図の排水を外に出し屋外を巡る排水管に合流するのが一般的でしたが、最近は右図の建物の中の一カ所に排水を集めそこの排水集合継ぎ手から外に排水する方式も増えています。敷地ギリギリに建てる住宅が増えたせいでしょうか。集合継ぎ手には詰まり取り除きや掃除のための掃除点検口が必要となり、床を開け閉めできるようにしておくことも必要です。また、通気管が推奨される都市では家から出たところに設置されるようです。
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