下水道開削工事現場の見学     2006.11実施    21世紀水倶楽部
                           担当 二宮 HP Nogi 2006/12      
下水道普及がやっと7割になった我が国ですが、ほとんどの地域ではすでに市街化している街なかでの工事として実施されてきました。交通を確保し、騒音や振動がないようにしつつ、水道管、ガス管、NTT管などがすでに埋設されている道路にずっと太くて、深い下水道管を設置するのですので非常に難しく、担当される方々には多大の苦労がかかっています。下水道工事の実施方法(段取り)は地域によって異なるようですが、実際はよくわかりません。今回、船橋市役所のお世話により面整備(すべての道路に設置される、家屋につながる管)工事現場を見学させていただきました。
場所は東葉高速鉄道沿線に造成された団地。道路も広く、丘陵地で地盤も良く、地下水の出ない好条件のところですが、それでも工事は大変なようです。

見学の日2つの工区で工事が実施されていました。
 今回の見学会は、船橋市役所の下水道建設第二課にお世話いただきました。面整備工事見学は現場が次々と動いて行き、工期も短いので日時の設定が非常に難しいことがあります。

開削工事1−1
開削工事1−2
開削工事2
工事の難しさ
舗装復旧から見る
面整備、開削工事の手順
 概略の工事計画、地元説明会を行った後、工事に着手します。工事の手順は、規模や地質などによって多少異なりますが、一般に、試掘
(試し掘り)→埋設管や架空線などの支障物件の移設(又は切回し)→舗装切断→舗装取壊し→土留(どどめ)→掘削→基礎工→管の敷設→埋戻し→舗装の仮復旧→舗装復旧によって行われます。
今回見学した工事は、既設のU字型側溝を雨水渠として活用し、汚水管を埋設するものです。2つの工区は、殆どが内径200mmの塩化ビニル管(長さ4mのVU管)の布設工事で、舗装の取壊しから仮復旧までの一連の埋設作業を、午前9時から午後5時の作業時間内で1日に1本を敷設し、車輌交通を開放する作業サイクルが採られていました。

1,他の地下埋設物掘削・移設
 水道管、ガス管などの埋設位置を確認し、下水道管の設置位置を決めますが、管理者でも予想していなかった、とんでもないところにはいっていたりして試掘するなど、現地の確認は大切です。下水道工事で開削する区間内の地下埋設物は移設するか、仮配管しなければいけません。移設する必要がない場合、この工程は省略。
2,その舗装復旧
 移設、仮配管後、下水道工事までの間、通行確保のため舗装復旧
3,掘削工および土留め工事
 下水道管は深いため、掘削箇所が崩れないよう矢板で保護する必要があります。矢板を設置しながら開削していきます。長さは一般に下水道管の寸法に合わせ4m程度。2つの工区とも、高台の住宅地に位置し、土被りが1.2m〜1.5mと小さく、地下水位が低く自立性の高い関東ローム層であるため、掘削と併行して土止めを行う「あて矢板」方式で行われていました。
4,マンホール、下水道管、取り付け管設置
 掘削完了後、底部の床付面(とこづけ)をタンパーで締固め後、本管の基礎材(土質改良土)を再びタンパーによって敷固めて本管を敷設しますが、この際、取付管の流入口の「支管(しかん)」と本管の末端には、それぞれ仮の「ダミー蓋」を取り付けて土の侵入を防ぎます。下水がスムースに流れるように、設計された勾配を保つように高さは慎重に。また埋設後地下水が入らないように、水密にすることも大事です。取り付け管は下水道管と一緒に工事するのが理想ですが、いろいろな条件であと工事になるものも多いようです。昔マンホール工事は設置に時間がかかるため、さきに工事していましたが、今では工場で作って持ってくるため同時施工ができるようになっています。
5,埋め戻し工および矢板の引抜き工
 本管の敷設後、埋戻しを行いますが、基礎工と同様の「土質改良土」を埋戻し材として使用していました。この土質改良土は、山砂などの埋戻し材が枯渇していることから、掘削した土に下水汚泥などの焼却灰のほか、セメントや生石灰を助剤として混ぜ、篩によって粒度の調整を行ったもので、環境に優しい埋戻し材と言えます。埋め戻し高さは相当高いのでしっかりと埋め戻し土を締め固めなければいけません。そうでないと地盤が沈下して舗装を痛めます。
6,舗装復旧工
 車が通れるように、掘削幅を舗装。通常は「常温合材」を用いて仮復旧を行いますが、見学現場は、取り付け管が後の工事になり、1年間程度を仮復旧の状態で維持するため「加温合材」が用いられていました。
7,残りの取り付け管工事と舗装復旧
 本管の敷設後、車輌交通や車庫の使用状況を確認しながら実施。