故 巽良雄さんを偲ぶ
                                                   副理事長 阿部恭二   
 平成16~25年度の10年間の長きにわたって当NPOの理事を務めていただいた、元横浜市下水道局建設部長の巽良雄さんが平成30年9月1日に帰らぬ人になられました。
 巽さんとの思い出となると、お会いする度にたくさん、本当にたくさん元気をもらったことが挙げられます。当NPOの研究集会は、講演後の総合討議に比較的長い時間を割き、講師と聴講者の全員で、真剣で活発な議論を行うのが大きな特徴です。その総合討議の中で、ひと際元気にハイ!と声を上げるのと同時に挙手をして質問を発したり感想を述べるのが巽さんでした。元気は巽さんのトレードマークであり、私ばかりでなく、多くの人が巽さんからこの元気をもらっていたのではないでしょうか。
 巽さんの元気の根っこになっているのは、巽さんが長く携わってきた、横浜市の下水道部門の現場での経験ではなかったかと推測されます。巽さんから聞く下水道、特に管路施設の話はとても刺激的でした。紙数の関係で詳細は省きますが、支給材、ひょっとこ(支管)、長太郎、お風呂屋で木箱を燃やした後の五寸釘が大量に集積された管きょ、スズラン灯、紙パイプ、カルメ焼き(伏越しの手前で溜まったスカムの塊)等々、巽さんの現場の話は興味尽きることなく、私は面白がって聞いていましたが、それは巽さんが仕事での困難を幾つも乗り越えてきたことを物語っていたのではないかと思われます。そのような経験がいつも笑顔で元気な巽さんを支え、そして私たちにもその元気をお裾分けしてくれていたのだと私は思います。巽さんの元気な声は、今も私を励ましてくれているようです。

 心からご冥福をお祈りいたします。

 ご葬儀は9月3日に家族葬でしめやかに行われたそうです。
                         21世紀水倶楽部だより 第 59号 2012012018年 11 月 2日  より