問題点の改善       合流式下水道の課題 
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合流式下水道の問題点の改善
1)改善策
 合流式下水道の問題点の改善のため、国では「合流式下水道改善対策検討委員会」は設置し、平成14年2月に合流式下水道の改善対策がとりまとめられました。平成15年9月には、合流式下水道の改善に必要な施設の構造及び放流水質を規定するなど、下水道法施行令が改正されました。(平成16年4月1日施行)この改正で、合流式下水道の改善対策に向けて、改善計画を策定し、原則として10年以内に対策を実施することが示されました。雨水吐き※1の構造について、適切な高さの堰の設置やスクリーンの設置等を行うこと、放流水のBOD※2平均水質40r/L以下とすること、放流水について1回/年の水質検査(モニタリング)を実施すること等が主な改善策の内容です。

※1 雨水吐き
下水を処理場または河川・湖沼・海等の公共用水域へ分水する機能をもつ施設
雨水吐き室のしくみ/大津市 (otsu.lg.jp)
※2 BOD
水中の微生物が有機 物を分解するときに消費する酸素量を使った水質汚濁物質量の指標

2)具体的な改善策
  具体的な改善策として、図に示すような@〜Eのような対策があります。また、新たに下水管を建設し、排除方式を雨水管と汚水管に分離し、合流式を分流式に変更する方法もあります。その他事例については、国土交通省今後の合流式下水道の施策のあり方提言(参考資料−追補版)p40―46を参照してください。

@ きょう雑物対策
ごみやオイルボール(油のかたまり)などの流出を抑制するスクリーン等を整備する。
A しゃ集管きょの整備
雨天時の下水の送水量を晴天時より多く処理場へ送水するための管きょを整備する。
B 雨天時貯留池の整備
降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を整備する。
C 雨水浸透ますの設置
D 貯留管の整備
雨水吐口からの雨天時の下水放流量を削減する。
E 高速ろ過施設の整備
従来の沈殿処理と比較して省スペースで汚濁物を2倍程度除去することが可能な処理施設を整備する。

     図 合流式下水道改善計画の施策
       出典)東京都の下水道2023  東京都下水道局 (tokyo.lg.jp)


3)改善状況とこれから
 令和5年度末にはすべての団体で対策を完了する見込みとなっています。
今後は、下水道管理者がモニタリング・施設の維持管理を継続しながら、水域の特性と水環境のニーズ・利用用途に応じた合流式下水道の対策等を強化していくことになります。地域のニーズに即した水環境の創出を環境部局、河川部局、NPO等の団体や地域住民の皆さんと連携し進めていきましょう

プラごみと合流式下水道
 1970年以降生産されたプラスチックは、生産の増大に伴い廃棄量も増加しました。気候変動以外に深刻化している地球環境問題として、海洋プラスチックごみ汚染があります。海洋プラスチックごみは、生態系を含めた海洋環境の悪化や海岸機能の低下、景観への悪影響、船舶航行の障害、漁業や観光への影響など、様々な問題を引き起こしています。
 合流式下水道は、強い雨の時に汚水を含んだ未処理水が河川や海に放流されているため、プラスチックごみが放流水に含まれている可能性がありました。昨今では、合流改善計画の実施から、プラスチックごみは雨水吐口(図 合流式下水道改善計画の施策参照)でスクリーンに引っかかる等、ごみとして取り除かれることから放流されにくくなっています。
 一方、分流式下水道では、プラスチックごみが側溝から雨水管に流入し、そのまま河川や海に流出する傾向にあります。
写真 葛西海浜公園(荒川に隣接)での大雨後の漂着ゴミ清掃活動       2022/7  写真 集められたプラゴミや空き缶など